GMT、UTC、UnixTimeって何が違うの?
この世界には時間が流れています
過ぎ去った過去は戻ってきませんし、すべての存在に等しく時は流れます
人の叡智は、そんな偉大で悠久の時をほぼ正確に刻む術を手に入れました。(水晶とか、原子とか、素粒子とか、光とか)
時のズレを検知して、地球上どこでも位置を測定することができるGPSは、時計測技術の極致とも言えます
時差
前置きはおいておいて...
この地球は時差が存在します
つまり、日本で朝9時でも、英国では真夜中の0時だったり…
要するに、日本で23時としても、英国ではアフタヌーンティーの真っ最中だったりする訳です
高度なリアルタイム通信網が地球全土を埋め尽くしている昨今、この時差はとても面倒です
なにせ、オンラインミーティングを15時からしようと決めていたのに、サンディエゴの同僚に電話したら「今何時だと思ってるんだ!」と、トラブルが起きるでしょう
(アメリカ太平洋標準時は日本標準時から-17時間)
それでは困るので、世界で統一的な基準となる時間という決まりが存在します
GMT
歴史的に海洋帝国として栄えていた大英帝国は、18世紀からその国内法で「グリニッジ天文台で太陽が南中する時刻を基準として標準時として扱う」と定められており、船乗りたちはそれをもとに生活をしていました
(流石に遠隔地では現地時間に合わせた生活をしていたようですが)
19世紀末には、電信等を使用する際の標準時として、グリニッジ標準時を基準として扱うことが国際的に決定します
つまり、
GMT = 「グリニッジ天文台で太陽が南中する時刻を基準にした時間」
と言えます
UTC
さて、それから技術は更に進歩し、原子にマイクロ波を浴びせたときに生じる振動を利用したり、光の波動によって作成された格子の中に原子を閉じ込めたりすることによって生じる振動などを利用したり、光の速度は常に一定という定理から「光が進む距離」を利用したりするなど、今では1京分の1秒の精度で時を測ることが可能になりました。
「じゃあ、それらを世界の時間の基準にすれば...」
確かに、微妙に観測しづらい南中時間より圧倒的に正確なんですが、少し困ったことに、地球の時点速度は地殻変動や潮汐力によって変動します
つまり、地球における1日という時間は、実は毎日微妙に違うという困ったことが分かってきました。
(実際に、大規模な地震で自転軸がずれて1日の長さが変わったり、潮汐力によって潮の満ち引きが起こることは有名です)
「これでは困る…けど、原子時計の正確さも欲しい…」
ということで、「セシウム原子を利用した原子時計を基準として、自転速度の変動によって起こる実際の南中時刻とのズレを、うるう秒を挿入することにより誤差±0.9秒以内に保つ」という決まりのもと協定世界時(UTC)が決められました
UnixTime
GMTとUTCは時刻ですが、一方でUnixTimeはコンピューター内部での時刻表現の一種です
現在ではコンピュータは必要不可欠で、コンピュータのない世界はもう想像できません
今日広く普及しているオペレーションシステムは、大体はUnixというオペレーションシステムの影響をとても強く受けています
このUnixは1970年頃に世に広く普及したのですが、Unix内部では「協定世界時の1970年1月1日0時0分0秒からの累計秒」で現在の時刻を保持する仕組みになっていて、これがUnixTime(または、Unix Epoch)と呼ばれる時刻表現の一種の決まりになっています
ここで重要なのが「協定世界時の」1970年1月1日0時0分0秒からの累計秒であるという点で、うるう秒等が差し込まれるとうるう秒の間だけUnixTimeの1秒は世界協定時の2秒になるという点
つまり、1998年の大晦日に差し込まれたうるう秒を例に上げると
世界協定時 1998年12月31日 23:59:59 → UnixTime 915148799
世界協定時 1998年12月31日 23:59:60 → UnixTime 915148800
世界協定時 1999年01月01日 00:00:00 → UnixTime 915148800
世界協定時 1999年01月01日 00:00:01 → UnixTime 915148801
ということになります
※UnixTimeはUTCやGMTと違い、条約や協定は存在しないため、システムによって実装が異なります
まとめ
- グリニッジ天文台を基準としたグリニッジ標準時(GMT)
- セシウム原子を利用した原子時計と、GMTを基準にした世界協定時(UTC)
- UTCを基準に、1970年1月1日0時0分0秒からの経過秒で表すUnixTime
時という一見計測しにくいものを、凄まじい精度で計測できるって、人間はすごい